GUIDE 実務ガイド
M&Aで会社を高く評価してもらうために、仲介会社へ相談する前に「営業」を整えるべき理由
M&A仲介会社へ相談する前に、買い手から評価される会社をどうつくるか。営業の属人化を解消し、顧客情報・営業プロセス・KPIなど「会社に残る営業資産」を整える考え方を解説します。
元M&A仲介営業が語る、「売れる会社」ではなく「選ばれる会社」のつくり方
「いつか会社を売却するかもしれない」
そう考えたとき、多くの経営者が最初に調べるのは、
「どのM&A仲介会社に相談すればいいのか」
「自分の会社はいくらで売れるのか」
「どうすれば高く売却できるのか」
といったことではないでしょうか。
もちろん、M&A仲介会社選びは重要です。
しかし、M&A仲介の現場を経験してきた立場から見ると、その前に考えておいた方がいいことがあります。
それは、
「今の会社をいくらで売るか」ではなく、「買い手から評価される会社を、売却前につくれているか」ということです。
会社の価値は、M&A仲介会社へ相談した瞬間に生まれるものではありません。
顧客基盤、収益性、組織、営業力、ブランド、技術、人材、取引先との関係性。
これまで会社が積み上げてきたものの総体として、企業の魅力が形成されます。
その中でも、営業支援を行ってきたNSJAPANが特に重要だと考えているのが、
「その売上は、経営者がいなくなった後も続くのか」
という視点です。
この記事では、M&Aの一般論ではなく、
「営業」という視点から、M&A前にどのような会社をつくっておくべきなのか
を解説します。
会社の値段は、「売ると決めた日」に決まるわけではない
M&Aについて調べると、
「企業価値評価」
「EBITDA」
「純資産」
「DCF法」
「類似会社比較法」
といった言葉が出てきます。
もちろん、企業価値は財務だけで決まるものではありません。
事業内容、市場環境、成長性、競争優位性、人材、顧客基盤、買い手とのシナジーなど、さまざまな要素によって評価は変化します。
だからこそ、私たちは経営者の方に一つ問いかけています。
「決算書にはまだ表れきっていない“会社の強さ”を、買い手に説明できますか?」
例えば、同じ売上3億円、営業利益3,000万円の会社が2社あったとします。
数字だけを見れば、似た会社です。
しかし、中身を見るとどうでしょうか。
|
項目 |
A社 |
B社 |
|---|---|---|
|
年商 |
3億円 |
3億円 |
|
営業利益 |
3,000万円 |
3,000万円 |
|
最大顧客への依存 |
45% |
12% |
|
社長経由の売上 |
約70% |
約10% |
|
新規顧客獲得 |
社長の人脈中心 |
複数チャネル |
|
営業プロセス |
担当者ごとに異なる |
標準化 |
|
商談情報 |
個人管理 |
全社共有 |
|
営業KPI |
ほぼない |
可視化 |
|
半年先の案件 |
不明 |
パイプライン化 |
|
社長退任後 |
大きな影響あり |
組織で営業可能 |
どちらが必ず高く売却できる、という単純な話ではありません。
しかし買い手からすると、A社には一つ大きな疑問が生まれます。
「この社長がいなくなった後も、この売上は残るのか?」
一方でB社には、
「買収後も事業を継続・拡大できそうだ」
と判断するための材料があります。
この違いは非常に重要です。
売上ではなく、「売上を生み続ける仕組み」を残す
年間3億円売れている。
これは結果です。
しかし、その売上をつくっている要因が、
「社長の人脈」
「トップ営業マンの経験」
「ベテラン社員の勘」
だけだった場合、その人が抜けた瞬間に売上が下がる可能性があります。
逆に、
誰を狙うのか。
どこからアポイントを取るのか。
何をヒアリングするのか。
何を提案するのか。
どの数字を追うのか。
どのタイミングで次のアクションをするのか。
こうしたものが整理され、営業担当者が変わっても一定の成果を出せるのであれば、
それは個人の能力ではなく、
「会社に残る営業資産」
になります。
M&Aを考えるうえでも、この違いは小さくありません。
「トップ営業マンがいる会社」より、「普通の営業マンでも売れる会社」
経営者として事業を成長させていると、
「優秀な営業マンを採用したい」
と考えることがあります。
もちろん、優秀な人材は重要です。
しかし、企業としてさらに強い状態は、
「優秀な人がいるから売れる」ではなく、「普通の人でも一定水準まで売れる」状態です。
例えば、
Aさんの成約率は40%。
Bさんは15%。
Cさんは10%。
そして、
「なぜAさんだけ売れているのか分からない」
という会社は珍しくありません。
Aさんの頭の中には、
顧客の見極め方、
質問の順番、
課題の引き出し方、
提案の組み立て方、
クロージングのタイミング、
といったノウハウが存在します。
しかし、それが会社には残っていません。
この状態を、
Aさんしか売れない会社から、
Aさんの営業をBさん・Cさんでも再現できる会社へ変えていく。
これが営業の平準化です。
なぜ「営業の平準化」がM&Aと関係するのか
理由は非常にシンプルです。
買い手企業からすると、
「この会社には優秀な営業マンがいます」
よりも、
「この会社には、売れる営業の仕組みがあります」
の方が扱いやすいからです。
人は退職する可能性があります。
経営者も、M&A後に一定期間を経て会社から離れる可能性があります。
しかし、
顧客データ、
営業プロセス、
KPI、
商談履歴、
提案方法、
成功パターン、
失注理由、
営業教育の仕組み、
が会社の中に蓄積されていれば、
営業ノウハウそのものが会社に残ります。
NSJAPANでは、この状態を非常に重要だと考えています。
NSJAPANが考える「7つの営業資産」
私たちは、M&Aを検討する企業だけでなく、営業組織を強くしたい企業を見る際に、主に次の7つを確認します。
1.顧客分散性
特定の1社・2社に売上の大部分を依存していないか。
大口顧客を持つこと自体が悪いわけではありません。
問題なのは、
「その企業との取引がなくなったとき、会社の業績が大きく崩れるのか」
です。
営業戦略として、新規顧客を継続的に獲得できる状態をつくることで、顧客ポートフォリオを分散していきます。
2.営業再現性
誰が営業しても一定の成果が出せるか。
トップ営業マンだけが売れている会社では、そのノウハウが会社ではなく個人に蓄積されています。
売れている人が、
「誰に」
「何を」
「どの順番で」
「どのように伝えているのか」
を分解し、他の営業担当者へ展開できる状態をつくることが重要です。
3.経営者依存度
「最後は社長が出れば決まる」
これは経営している間は強力な武器です。
しかし、
社長がすべての重要商談に出なければいけない状態では、会社として営業が独立しているとは言えません。
経営者自身が営業をしなくても売上が立つ領域を、少しずつ増やしていく必要があります。
4.収益の継続性
毎月ゼロから売上を作る会社なのか。
既存顧客から一定のリピートや継続収益が発生する会社なのか。
商材によってビジネスモデルは異なりますが、
既存顧客、
継続率、
リピート率、
アップセル、
クロスセル、
などを管理できていると、将来売上の見通しも立てやすくなります。
5.営業パイプライン
来月、3か月後、半年後。
どれくらいの売上が生まれそうなのか。
これを経営者が感覚ではなく数字で把握できることも重要です。
見込み顧客数、
アポイント数、
商談数、
提案数、
見積金額、
受注確度、
予定契約時期。
これらを管理することで、
「未来の売上」をある程度可視化できます。
6.営業データ
営業活動をデータで振り返れる状態です。
例えば、
100社へアプローチすると20件アポイントが取れる。
そこから10件商談になり、
3件契約になる。
平均単価は300万円。
ここまで分かれば、
「売上をあと1億円増やすためには、何件アポイントが必要なのか」
を逆算できます。
営業が、
「頑張る仕事」
から、
「計算できる仕事」
へ変わっていきます。
7.成長余地
最後は、まだ開拓していない市場です。
特定地域でしか営業していない。
特定業界しか開拓していない。
紹介営業しかしていない。
大企業へ営業していない。
代理店を使っていない。
海外へ進出していない。
こうしたものは、見方を変えれば、
「まだ伸ばせる余白」
です。
買い手企業が持つ顧客基盤や営業チャネルと組み合わせたとき、どこまで伸ばせる可能性があるのか。
この成長ストーリーを説明できることも重要です。
M&A直前に売上だけを増やせばいいわけではない
ここで一つ注意があります。
M&Aを考えているからといって、
「とにかく売上を増やそう」
と短期的な営業施策だけを行えばいいわけではありません。
むしろ重要なのは、
「その売上を、翌年も再現できるのか」
です。
例えば、
社長が半年間ひたすら営業して売上を5,000万円増やした。
これも素晴らしい成果です。
しかし、
営業フローを標準化し、
営業メンバー3名が安定して受注できるようになり、
その結果として売上が5,000万円増えた。
こちらは、
会社そのものの営業力が上がった
と説明しやすくなります。
NSJAPANが目指しているのは、後者です。
なぜ営業支援会社のNSJAPANが、M&Aについて語るのか
「M&A仲介会社でもないNSJAPANが、なぜM&Aの記事を書いているのか」
そう思われる方もいるかもしれません。
理由は、
M&A仲介会社へ相談する前に、できることがあるからです。
M&A仲介会社には、
企業価値の算定、
買い手候補の探索、
条件交渉、
専門家との連携、
クロージングなど、
重要な役割があります。
一方、NSJAPANが得意としているのは、その前段階です。
営業戦略を整理する。
新しい市場を開拓する。
営業方法を標準化する。
トップ営業のノウハウを言語化する。
営業KPIを整理する。
営業組織を育てる。
経営者が営業から少しずつ抜けられる状態をつくる。
つまり、
「会社を売る支援」ではなく、「会社そのものを強くする支援」です。
結果として、
M&Aを選んでもいい。
M&Aをしなくてもいい。
経営者が選べる状態をつくる。
それが私たちの考え方です。
まず、自社の営業を「仕組み」にしてみてください
ここまで読んで、
「自社の営業はどの程度仕組み化されているだろう?」
と思った方もいらっしゃるかもしれません。
そこでNSJAPANでは、
実際に私たちが営業の平準化に使用している「営業管理シート」を無料で提供しています。
単なる営業リストではありません。
営業活動を、
感覚ではなく、データと仕組みで管理するためのExcelシートです。
例えば、
顧客情報の管理
アプローチ状況
アポイント管理
商談進捗
提案内容
失注理由
次回アクション
営業担当者ごとの数値
商談から受注までの転換率
営業パイプライン
売上予測
などを一元管理できるように設計しています。
さらにNSJAPANでは、
GASやAIを活用し、入力・集計・分析の一部を自動化できる仕組み
も取り入れています。
営業担当者が入力した情報を蓄積し、
「誰が売れているのか」
だけではなく、
「なぜその人が売れているのか」
を分析できる状態をつくる。
そして、
トップ営業のやり方を他の営業メンバーにも展開する。
私たちは、この積み重ねが営業の平準化につながると考えています。
このExcelを使ってほしい理由
このシートを提供する目的は、
NSJAPANへお問い合わせいただくことだけではありません。
まず、
一度、自社の営業を数字で見ていただきたい。
そう考えています。
もしかすると、
「トップ営業だけ成約率が3倍高い」
ことに気づくかもしれません。
「アポイントは取れているのに、商談から受注までの数字が悪い」
かもしれません。
「営業担当者によって追客回数がまったく違う」
かもしれません。
「社長が入った商談だけ極端に受注率が高い」
かもしれません。
数字にすると、
営業組織の“属人化している部分”が見えてきます。
その原因を見つけ、平準化していく。
それが会社としての営業力を高める第一歩です。

【無料提供】営業を属人化させない「営業平準化Excel」
NSJAPANでは、
「トップ営業しか売れない」
「社長が営業から抜けられない」
「営業担当者ごとの成果の差が大きい」
「営業活動が数字で管理できていない」
という企業向けに、
営業を平準化するためのExcelシートを無料提供しています。
営業活動を一元管理し、
営業担当者ごとの差を可視化し、
売れる営業の共通点を見つけ、
組織全体へ展開していくためのシートです。
一から営業管理表を作る必要はありません。
NSJAPANが営業支援の現場で蓄積してきた考え方をベースに設計しています。
入力後、すぐにご利用いただけます。
Excelを使って、「もっと営業を仕組み化したい」と感じた方へ
シートを使ってみると、
「管理はできたけれど、どの数字を改善したらいいのか分からない」
「トップ営業のノウハウをどう言語化すればいいか分からない」
「営業戦略そのものを見直したい」
「新しい顧客層を開拓したい」
といった課題も見えてきます。
その場合は、NSJAPANにご相談ください。
私たちは、
単に営業代行をするのではなく、
その会社に営業力が残る状態をつくること
を重視しています。
そして、
将来的にM&Aを検討される場合には、
企業の状況に合わせて、M&A支援会社へのご紹介も可能です。
会社を売る前に、会社を強くする
M&Aをするかどうかは、今決めなくても構いません。
1年後かもしれません。
5年後かもしれません。
あるいは、売却しないかもしれません。
しかし、
顧客が増える。
営業が仕組み化される。
営業担当者が育つ。
経営者が営業から抜けられる。
将来売上が見える。
これらは、
M&Aをしてもしなくても、
会社にとってプラスになります。
だから私たちは、
M&Aのためだけに会社を強くする必要はない。
と考えています。
強い会社をつくった結果として、M&Aという選択肢も持てる。
この順番が理想です。
会社を売る前に、会社を強くする。
そして、
「売れる会社」ではなく、「売らなくても強い会社」をつくる。
それがNSJAPANの考える、M&A前の企業価値向上です。
実際にNSJAPANが使っている営業平準化Excelを無料で受け取る
営業管理・パイプライン管理・営業分析を、まずはこのシートから始めてみてください。
※本記事は特定の企業価値・売却価格の上昇を保証するものではありません。実際のM&Aにおける評価・条件は、財務状況、事業内容、市場環境、買い手とのシナジー等によって異なります。



